鍼師を目指すまで その4

先輩に誘っていただいた講習の後、すぐに入会をし、奈良の藤本先生の治療を受けに行きました。
目は見えません。視覚情報から得られる診察もできません。しかし、東洋医学、鍼を通じて病に苦しむ方を救えるようになりたいのだということを相談しました。
「まずはあんたが治るのが先や」と言われました。その時はその言葉の意味を理解できませんでしたが、後にその意味の深さを知ることとなりました。
ある難病を克服し、現在も医師としてご活躍なさっている先生の体験談の中でのお話です。「病の苦しみを知っていることで患者の苦しみが理解できる。それはとても尊い体験です。」「私が難病を克服した時、先生に、今度はあんたが患者を救う番や」と言われたようです。
これまでの経験すべてがこれからの臨床に生きていく、それを乗り越えることがまた自分を救い、患者さんを救うことになる。もちろんそこに確かな学術があってのことですが。そこに気が付いた時、本当の意味で、東洋医学に一生をささげようと覚悟が決まったのでした。

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